このA330MRTTというのは、Multi-Role Tanker Transportの頭文字を取ったもので、多目的空中給油機を指します。ヨーロッパはマルチロールという冠言葉が好きで、パナビア・トーネードも多任務戦闘航空機・MRCA(Multi Role Combat Aircraft)が、開発時の研究段階で名づけられていました。
ユーロファイターは、なぜか空気取り入れ口の下に前輪を持ってきたものですから、着陸時の姿勢がえらく頭上げで見た目不自然な感じはぬぐえません。しかも、エンテ型と称される独特の形状(主翼の前方に水平安定板が有る)なので、デビュー当時はかなり異形の機体でした。
今はスティルス機の妙にカクカクした外形と比べれば、まだエレガントの範疇に入るフォルムではあります。
このユーロファイターはイギリスメインで開発された国際共同機ですが、日本のF-2の後継機として開発する際に、イギリスが候補に挙がっています。今までのように、アメリカ一辺倒でないのが新鮮ではありますが、過去の機種選定の際にも当て馬的にヨーロッパ機が候補の上がったことはありました。ただ、今回はどうも実現しそうな雰囲気が有ります。
というのも、あまりに開発にお金と時間がかかるようになってしまい、今のアメリカに現存する戦闘機は、秘密部分が多すぎて輸出できなかったり、既に購入したりで、次世代用の機種が存在しません。ヨーロッパなら自主開発の力はありますし、日本にもそれなりの水準に肉薄する技術が揃っています。空力を含めたデザインはヨーロッパ。アビオニクスやエンジン回りに関しては日本という棲み分けも考えられる環境下にあります。
今回のヨーロッパ機の飛来は、その露払いの意味が有ると言ったら穿ち過ぎでしょうか。