最大の難敵です。しかもなぜか3枚羽根なのですが、これを5枚乃至
7枚に変更して、直径の小口径化を図って、通常飛行姿勢で地上滑
走が可能なようにしたら、バランス的に優れたものになる可能性が有
ります。これは、振動面でも、圧倒的に有利です。
もう一つの方向性として、コントラプロペラの採用です。
二重反転プロペラのことで、ツポレフのTU−95などに採用されていま
す。大馬力を効率よく使用する技術ですが、一軸内に反対方向に回転
する軸を組み込むので、プロペラの小口径化が図れますが、重量の面
で不利となります。
オスプレイのように、翼の先端に重量物を取り付けること自体、機の安
定を損なう要因ですが、コントラ化はあまり得策ではないと思えます。
もう一つの方策としては、ドイツで試作されたVJ−101のように、翼端
のエンジンをジェットに換装してしまう事です。
VJ−101は、「最後の有人戦闘機」のキャッチコピーでアメリカの同盟
国に広く採用されたF-104を母体とし、これを改造して、翼端に回転式の
ポットを取り付け、そこにジェットエンジンを組み込みました。
それだけでは縦方向の安定が不足しているとみて、胴体内にリフト用エ
ンジンも組み込みました。
結果的には見るべきものが無くて、不採用でしたが、今なら大バイパス
エンジンが有りますから、これを真似してオスプレイもジェットエンジンに
換装すれば、それなりの運用に耐えられるようになるのではないかと思
いますが、如何でしょう?
結果的に、実用になっているVTOLはホーカーシドレーP1127ケストレ
ルを前身とするAV−8ハリアーしかありません。
同じ形式のライアン社のXV−5も、結局は実験機のまま「X」が取れること
はありませんでした。
プロペラ戦闘機の推進式で、日本の震電が唯一実用化したのと、状況は
似ています。
航空機は、軽く強い機体に軽量大出力省燃費のエンジンを備えなければ
ならないので、同時代にすべてを揃えることは困難であるがゆえに、名機
はなかなか誕生しないのです。
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