2012年11月27日

高齋正の小説 ニッサンがルマンを制覇する時 その3

「高齋正の小説 ニッサンがルマンを制覇する時」は、文字通り、ル・
マンを勝利で飾りますが、すんなりとは勝たせてくれません。六人の
精鋭を揃えてきていたにも拘らず、一番早いドライバーが事故で入院
貰い事故のドライバーが、一時期ショックでレースが怖いと、監督に
泣き着く等々。

主人公である天野裕一は、僅差ながらチーム二番目の速さを持ち、
マシンのセットアップには、メカニックの信頼厚いドライバー。
アクシデントの結果、チーム監督してついてきた梶原が、急遽ドライブ
することに…。

当代一流の名ドライバーの華麗なるドライビングを、活写する中で、
ニッサンのR384も天野の手で快走を続けます。
サバイバルが激しさを加える中、ニッサン車だけは完調であり、他が
次々と脱落していく様は、高齋正の小説に欠かせない要素で、どの
レースでも、メインとなった会社の車両はいつも絶好調が前提です。

これは、ご都合主義と取られかねませんが、私にとっては。小気味よ
く感じる部分です。
なぜなら、最後はヒューマンドキュメント的味わいでハッピーエンドを
迎えるために、あまりにいろいろな要素を絡ませると、読者に快感を
与えることが難しくなるからでしょうね。

ミステリーにあるような最初に伏線を数多く貼っておき、クライマックス
で一挙にたたみかける方法は、筆力が有れば効果的なのでしょうが、
意外にこの手法で成功している作家は少ないんです。

高齋正が凄いのは、短いスパンの伏線が散りばめられていて、かつ、
肝腎の部分ではそれが有機的にまた効果を発揮することでしょう。
まさに、一粒で二度おいしいを実践しているのです。

読後の爽快感を求める方に、お勧めしたい一冊です。
posted by ホワイトミスト at 00:27| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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