今回の事故は、空中給油中に発生した、回転翼と給油パイプの接触に端を発しているとの報道がなされています。
あの巨大な回転翼のわずかな隙間に給油パイプをそろそろと入れて、空中給油するなんてアクロバットそのものです。
そんな形での運用を訓練中に、今回の事故が発生しました。
風にあおられたり、空中給油機の斜め後ろからの接近が許されない機体構造なので、無理があるなとだれもが感じるシステムです。
ブレードの数を、現行の3枚から5枚ないし6枚に変更すれば、直径が大幅に縮小されて、給油パイプの接触あるいは切断も回避しやすくなります。
しかしそこには、空軍と海軍との大きな違いに目を向ける必要があります。
それは給油方式の違いにあるのです。
空中給油の方法には大きく分けフライングブーム方式とプローブアンドドローグ方式の2つが有ります。
前者は、空軍で主に使われる方式で、後者は海軍をはじめとするはじめ多くの空軍及び海軍航空隊で採用されている方法です。フライングブーム方式は、文字通り(棒状のパイプと思ってもらえばよい)ブームを使用するので、風などに対する垂れ下りやゆるみなどが少ないので、今回のような場面でも、接触回避の能力は高いものがありますので、事故は起きにくい構造です。
ただ、この方式は、ブームの母機側に複数のオペレーターが必要で、一度に一機しか給油できない短所があります。半面、給油量が多いので、短時間に任務を完遂できる長所もあります。
この項、続く。
【関連する記事】