航空機の開発は、時間とお金が沢山必要です。それだけに、雑誌としては毎号毎号同じ機種を取り上げるわけにもいかず、かといって、就航して何年もたっている機種では、新味のネタなど出て来ようがありません。
ダグラスDC−8の60シリーズが大好評で、一時期ベストセラーになりました。
これは今まで書いてきた記事にもある通り、機体の長胴化が可能な地上高を持った設計だったので、主翼の前後の胴体を伸ばすことで、比較的簡単に乗客数を増やすことが出来たのです。
しかし、元々細長い機体をさらに伸ばしたのですから、扱いにくい機体になってしまいました。
ここに航空各社から更なる乗客数の増加に対応する機体のリクエストが、寄せられました。
この時、大手航空会社のアメリカン航空のメイン空港であるラガーディア空港の駐機サイズである、全長55メートル 全幅47メートルの旅客機の製作を、ダグラス社とロッキード社に提示してきました。250人乗り程度で航続距離が3500Kmが目安です。
このころ、航空雑誌はよく売れていましたし、部数も伸びていたようです。
何しろ、大型機の新機種が、3機種も開発されていたからなんですね。
ロッキードL−1011・ダグラスDC−10・エアバスA300です。
ここに至って、機内の通路は2列となり、2・4・2配列とか、2・3・3配列などが登場してきました。
いわゆるワイドボディ機の登場です。
ここで、あの有名なロッキード事件が起きます。
ここでは詳しく触れませんが、この事件によって、ロッキードL−1011は高性能で優秀な機体であるとの評価を貰っておきながら、採用したエンジン・ロールスロイスRB-211の開発遅延によって、販売が伸び悩み、ライバルのDC−10がじゃじゃ馬的性格ながら、市場を制圧してしまいました。
これで、ロッキード社の旅客機製造は壊滅的なダメージを受け、この事業から撤退してしまったのです。
寿命という言葉でくくり切れないほど、大きなトピックでした。
【関連する記事】