とはいっても、相変わらずみゆきファンとしての熱さは、私の中にあります。最初の頃(世情がリリースされたころ)の大宮でのコンサートでは、空席が目立ち、曲の良さが世間には理解されていなかったのですが、年を経るにつれて、「詩」の存在感・「曲」の実力・「声」の迫力を評価する論評が増えていきました。そして、今では紫綬褒章を受賞した歌手としての名声迄も得ています。
他方、彼女の同年代の歌手はもう現役を続けている方は少なくなりました。数少ない現役組も、声に老人を感じさせるようになってしまい、往年の輝きは失われつつあります。中島みゆきはまだまだ声の衰えを感じることはありませんが、もしそれが表に出るようになったのなら、彼女は間違いなくスパッと歌手活動をやめることでしょう。
ただ、歌手の寿命はどこで差がつくかといえば、日ごろの発声に対するこだわりに有るのでしょう。あの藤山一郎は、若干声に震えが出ることがありましたが、若々しさは他界するまで失われませんでした。やはり、気力も大きな要因であることは間違いありません。研ナオコが、自分に曲を提供してくれと彼女に頼み、実際の音入れの日にスタジオの隅で地味な存在感しかし示さなかった中島みゆきと、今の大きな存在の中島みゆきを比較することがどうしてもできません。
それほどにビッグになった中島みゆきの今後は、本人でしか決められませんが、ファンがどう思うかを気にはしているはずです。果たして、いくつまで現役で活躍してくれるでしょうかと。少なくとも、今の団体合唱団ばかりの歌謡シーンの中で、彼女のような存在は、必要不可欠です。
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