しかし、そのインターネットエクスプローラーも設計が古くなってしまい、最新の状況にはもう対応が出来ないと見切りをつけて、マイクロソフトはかなり強引な手段でエッジへの移行を半ば強要するような戦略を取っています。
しかし、ここに来てその意向を阻む強敵が出現しました。
というと、何やらライバル出現かと思いきや、そうではなく、インターネットエクスプローラーをプラットフォームとして開発された国のソフトや、某地方銀行(都銀?かも)の引き落とし決済システムが、エッジでは動作しないのです。
国保連合会というかなり大きな組織が、福祉関連のサービスをした事業所からの請求を受け付けるためのシステムで、もしこのソフトが使えなくなると、全国のン十万を超える事業所の請求が滞ってしまい、国からの支払いができないことになりますので、福祉事業そのものが立ちいかなくなるという極めて大きな問題に直面することになります。
平たく言えば、万を超える福祉事業所が支えている障害者へのサービスが、全面的にストップしてしまうのです。なぜなら、福祉事業の経営状態が順風満帆なんて言うところは有り得ないのです。それは、国は綿密に計算して、いわば生かさず殺さず的な給付体系を敷いているからです。
しかもその影響を受ける65歳未満の障害者数は、令和2年度の白書によれば240万人に達するとのことです。つまり、ブラウザ一つのためにこれらの人々のサービスが停まりかねない状態が、実際に目の前に迫っているのです。
もう一つの引き落とし決済システムもしかりで、引き落としのための別会社を運営するほどの規模ですから、これが停まってしまえば、かなり大きな金融機関の先行きが危ぶまれる事態に陥りかねません。
そうすれば、以前に高校生の他愛のない噂話から始まった第二地銀クラスの取り付け騒ぎで大騒ぎしたことが思い出されますが、規模的にはあんなものでは済まされませんから、メガバンクにも大きな軋みが出るほどの影響を及ぼすことは必至の情勢です。
国の施策をアメリカの横槍で曲げられてしまい、TRONという出色の国産OSの採用をやめさせられたツケが、ここにきて大きく影を落としているのです。
こう考えると日本はIT立国はただの夢想に過ぎないことが良くお分かりいただけるのではないかと思いますね。
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