MRJのRはリージョナル、つまり地域航空に適した機材規模を意味しています。型式証明は、実は飛行する国ごとに取得する必要が有りますが、アメリカFAAの世界的な影響力の強さは言を待ちません。FAAが型式証明を下ろしてくれれば、事実上ほとんどの国で型式証明を発行して貰えるのは、比較的楽なことです。(国地域ごとの相互認証制度が存在します)
日本の型式証明が下りれば、国内での運用なら問題ありませんが、アメリカではそのままでは飛べません。スペースジェットの場合は、アメリカからの発注数がかなり多かったため、FAAの型式証明が必須だったわけです。
でも、ここで一つ大きな疑問が持ち上がります。いかにFAAの力が強大と言っても、その眼力は万能ではありませんでした。
その大きな事件が、あのボーイング737MAXの墜落事故です。実は、型式証明は、シリーズの母体となる機体が認証を受けると派生型は比較的簡単に発行されています。737MAXの開発の背景には、台頭著しいエアバスの存在が有りました。エアバスが開発した機体のエンジンをさらに燃費が良く出力も大きなものに変更した機体のシリーズは型番の後ろにneoと表示されていますが、このシリーズの売り上げが急速に上がってきてボーイングは慌てました。
それではと、ボーイングの一番の売れ筋の737のエンジンを、新世代のものに交換してMAXシリーズをして売り出したのですが、出力とエンジンの大きさとの関係で、機首上げ傾向の強い機体になってしまいました。それをコンピューターの力をもって、矯正しながら飛ぶという方式にした時に、機首上げ姿勢を感知するセンサーのデータを活用していましたが、そのセンサーの入力は2系統あり、より機首上げの数値の高い方を基準にして、機首下げ方向に修正していました。
ところが、センサーが2個で、数値が食い違っていても、それを補正する手段が正当で無かったために、過剰な機首下げとなり墜落に発展してしまったのです。軍用機なら不安定方向に振った機体をわざと作り、機動性を高まることをしますが、それを民間用の機体に適用してしまい、それをFAAは認可してしまったのが、事故の最大の要因でした。
ところが、三菱に関しては、異様なほど厳しい審査を行ってきました。というのも、いろいろ解決すべき問題があったにしろ、元々の素性が素晴らしかったために、業界から横やりが入ったという穿った見方も聞こえてきました。だとすれば、自国の権益を守るためにFAAぐるみの三菱潰しと取られても仕方のない行為が行われていたのではないという疑念が湧いてきます。
真相はもうやぶの中に深く埋められているでしょうが、後年の史家が事実を掘り出すかもしれません。その時、何が有ったのかを、今知りたいですね。
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